博士研究論文-概要と趣旨

病気になるという現象が、私たちの生活のなかでいろいろな意味をもち、それに対応する方法もひとそれぞれですが、現代社会においては医者にかかるというのがほぼ一般です。しかし、80年代より現在まで、医者以外の対処方法をとる人も増えてきています。90年代には、「代替医療」もしくは「補完医療」という言葉もできるほど、そういった医学以外の方法に対しての関心が高まってきています。これらへの関心の高まりは、日本、ヨーロッパ諸国、アメリカなど世界各国で見られます。

それに伴い、医学、社会学、人類学などの分野で、これらの医療方法に対する研究も進められていますが、その多くは各療法そのもの、例えば指圧、灸、ホメオパシーなどに注目し、西洋医学と対比、もしくは西洋医学の視点から批判する形のものが多い一方、「なぜこれらの療法を選ぶ人がいるのか」という疑問にたいして、その患者に焦点をあてた研究は、まだ数少ないというのが現状です。しかも、一般に普及が認識されている主流の療法を使う患者を扱ったものがそのほとんどであります。

しかし現実には、スピリチュアル・ヒーリング、あるいは霊気療法といった方法を選択する人も、少なくはありません。ただ、こういった方法を選択する理由については、一般認識、学術的認識どちらにおいても曖昧なままできています。さらに、”健康と病気に関わる社会学”という、社会学の小分野において進められている研究などから引き出される理論的説明では、説明しきれない部分が多くあるというのも事実です。

私の現在取り組んでいる博士研究論文は、現代日本社会において、病気に対して一種のヒーリング法を選択する人々を取り上げ、その理由を社会学的視野から説明するというものです。この問題を従来のアプローチとは違い、患者を中心に見つめ、彼らの視点から彼らの選択理由を理解し、ある一定の説明の枠組みを提案することを目的としています。とくに、一般常識からすれば「蔑視」「敬遠」されがちな選択であるヒーリングをあえて選択する患者の人たちにたいする認識を、現実に忠実な視点をもって解説することで、いわゆる「誤解」を「理解」にかえることを目的とするものです。

Advertisements

About Dr Kats

a working sociologist/linguist/translator based in Odawara, Japan
This entry was posted in 日本語ブログ. Bookmark the permalink.

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out / Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out / Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out / Change )

Google+ photo

You are commenting using your Google+ account. Log Out / Change )

Connecting to %s